外観
↑吹抜けには太鼓梁が渡り、トップライトからの光が降り注ぐ客間
日本家屋の美しさや豊かさ、魅力を感じる事が出来る人は、僅かな人に限られます。
第一に古民家を所有している必要があります。第二にその敷地、家屋、家の記憶を大切に受け継ぐかにあります。
その二つをお持ちのご家族と一緒に古民家をリフォームし、
日本家屋が持つ美しさや楽しさを最大限に引き出して現代の生活スタイルと調和させました。
コンセプト
暗く、天井高が低い18帖の客間の天井を取除き、屋根までの吹抜け空間にしました。
梁や柱を見せ、日本家屋を感じながら過ごせる客間にしました。
屋根にはトップライトを設置し、光溢れる空間としました。
玄関扉には蔵戸を使い、外観に趣(おもむき)と重厚感があるものにしました。
水廻りは使いやすさを考え、システムキッチン、ユニットバスを作り替えました。
Before - After
瓦屋根と塗り壁で出来た2階建ての古民家を平屋建てに再生させました。
平屋建てにすることで屋根は全て切り妻屋根にして、趣のある外観に変わりました。
大きなお宅なので、壁だけの開口部だけでは光が中まで入りません。
天井部分にトップライトを取付けて、中まで光が降り注ぐ家にしました。
煙突が見えるでしょうか。内部に薪ストーブを設置し、暖かい居間空間にしました。
玄関扉には蔵戸を使用し、さらに階段と外壁、床を石張りにすることでさらに建物に重厚感を演出しました。
「蔵戸」と「石張り」を使用した重厚感ある玄関
門を開け、石畳のエントランスを歩いていくと蔵戸と石張りの玄関が迎えてくれます。
重たい蔵戸ですが、上で吊ってあるので子供でも開ける事が出来るくらい軽く開けられます。
「細部」のこだわり
建物顔である玄関。特徴的な蔵戸を使用するにあたり、「細部」にこだわりました。
玄関の壁と天井に一段凹凸を付ける事で蔵を思わせる外観にしています。
蔵戸の上部と左右に付く枠を外ではなく内側に納めました。
そうすることで、ゴツイ扉枠が見えずスッキリとした外観になり、蔵戸を際立たせる玄関にしました。
光溢れる玄関と廊下スペース
蔵戸開けると光溢れる明るい廊下が現れます。
屋根に取付けたトップライトと吹抜けの白い壁と天井により明るく気持ちが良い玄関と廊下スペースになりました。
廊下の左側に家族が集う居間とキッチンがあり、右側にプライベートの個室が2室、奥にはトイレと浴室があり、
各部屋にアクセスするのに何回も廊下を通ります。
たかが廊下ですが、一番使う空間だからこそ、これだけ気持ち良いと生活の質が上がります。
キッチンからの眺め
5帖のキッチン、5帖のダイニング、4枚の格子戸の向こうには8帖のリビング、2帖の広縁。
その先には緑溢れる庭があります。キッチンからは、この全てが見渡せます。
屋根までの吹抜け空間なので、とても広い開放的な居室です。
屋根に付いたトップライトにより、居間の奥のキッチンにいても光が手元を照らしてくれます。
断面・姿図
居間の断面図はこのようになります。屋根までの吹抜け空間で、トップライトが4箇所付いています。
茶の間と食堂は格子戸で仕切られていますが、上部は吹抜けになっているので一体的になっています。
キッチンには使いやすさを考え、食器棚、家電収納、システムキッチンを備えています。
屋根には断熱材を入れ、断熱性能を向上させました。
明るい吹抜けと暖かい暖炉
居間の脇には薪ストーブを据付けました。
薪ストーブの背面と床にはタイルを貼る事で防火対策をしてあります。洋風の薪ストーブが日本家屋と良く似合います。
「黒い太鼓梁・柱」と「白い壁」
これまでも、これからも家を支える柱や梁はその存在と独特な風合いを際立たせるために黒く塗装をしました。
それとは逆に面を構成する壁は、白い塗り壁にして明るい空間になるようにしました。
黒と白のコントラストが吹抜けの開放的な空間のアクセントになっています。
庭を見渡す個室
廊下を挟んで右側には個室が2部屋あります。
家族が集い吹抜けがある居間とは対照的に2400で天井を作り、居心地感を重視したプライベートルームにしました。
1部屋は、畳4.5帖とフローリング3帖の広縁を持つ個室とし、
庭に面する開口部を広くし、庭の緑が見渡せる部屋としました。
もう1部屋は、6帖のフローリング張りの個室とし、3帖の収納を設けた収納重視の個室としました。